2008年3月15日土曜日

9: 仕事が10倍速くなる最強の図解術


書名:仕事が10倍速くなる最強の図解術
著者:開米 瑞浩 (著)
単行本: 237ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2006/12)
ISBN: 9784492042717
発売日: 2006/12
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【どんな著者か?】
 開米 瑞浩 氏は、これまで多くの企業や官庁などで『図解法』を指導されてきたそうです。

【要するに何が書いてあるのか】
 仕事の加速度を上げるためには、「何をするべきかを判断し、それを分かりやすく説明する能力」が必要不可欠であると主張されています。この主張の根拠は、3つの力(前に踏み出す力・考えぬく力・チームワークで働く力)が経済産業省の「社会人基礎力の能力要素」に掲げられているからだそうです。

【私が注目したポイント】
1.議事録を図解でレベルアップ
2.ビジネス・フレームワークを図解して叩き直す
3.チームリーダーの仕事は情報処理
4.図解の基本はマトリックス
5.ロジックはツリーで構造化
6.目的と目標の違い
7.4S手順を日常的に踏襲せよ
8.ステートメントに分解せよ
9.全体をひと言に要約せよ

1.議事録を図解でレベルアップ

30分以内:良
当日中:可
それ以降:不可

 議事録の締切りの目安を初めて知りました。30分以内に送信しようとすると、逆算すると、会議前に議題を把握しておく必要があるのでしょうね。こういう段取りは、会議に限らず仕事を効率的に進める上で、非常に大切なことだと思いました。また、議事録の最低要件は、「正確な議事内容」と「明確なタイトル」であると書かれていました。さらに、合格要件としては、「内容への分類タグづけ」が必要だそうです。これは、文章を図解化することによって、状況を把握しやすくするためです。普段は、私もたまに会議に出ることがありますが、自分で議事録を書いたことは、今のところありません。毎回配られる議事録を漫然と読んでいました。しかし、この本を読んだら、会議は問題を発見し、それを解決するプロセスの一部であることがわかったので、「どうすれば充実した会議を開くことができるのか?」と考えるようになりました。簡単なミーティングにも応用できるので、今度使ってみようと思います。

2.ビジネス・フレームワークを図解して叩き直す

 ビジネス・フレームワークとは、仕事をする上での「よくあるパターン」を整理して名前をつけたもののことです。日頃発生する様々な問題を、大まかにパターンとしていったん分類しておいて、またもとの問題を図解を使って多面的に解釈した上で、解決策を考えるということです。この「多面的」というのが文章にない図解の最大の特徴なのでしょう。文章は一列に記述されていくため、”線”の理解になり、頭の中で内容を展開していく必要があります。でも、図解は二次元で表現されるので、”面”の理解になり、頭の中の作業は次の段階の解釈にすすめる訳ですね。

3.チームリーダーの仕事は情報処理

仕事がデキる人は、ビジネス・フレームワークを読み解き、尋ねて、表現するために図解を使う。

 つまり、図解を利用して判断を加速するということですね。

4.図解の基本はマトリックス

 さて、実際にはどのように図解していくか、について説明されています。まず始めに、マトリックスを書くとよいそうです。マトリックスとは格子状の表で、状況のひとつひとつをその中にうめてていきます。次に、そのマトリックスを詳しく詳細化することにより、論理の穴を見つけて埋めていくそうです。本の中には、「テーブル型」と「座標平面型」について説明されていて、それぞれ、「細部を明らかにする」のと「重要な指標に絞り込んで簡潔にする」のに適しているそうです。まずは、テーブル型で展開しておいて、座標平面型にまとめていくと、うまくいくようです。

5.ロジックはツリーで構造化

 主張は理由で支えられる。これは照屋 華子 氏が書かれているように、論理の基本構造ですね(1)。主張は行動を要求するものであり、理由は事実を認定するものと説明されています。つまり、自分が言いたいこと(主張)を、根拠(理由)で支えることによって、説得力を上げることができるということですね。この”支える”部分を図解化すると、「カメラの三脚」のように、ツリー型に構造化される訳です。この際大切なのが、モレなく、ダブりなく(MECE)ということです。本書ではMECEについてとてもわかりやすい例えを挙げられていますので紹介します。それは、『卵かけご飯のレシピ』です。つまり、材料として必要なのは「ご飯・生卵・醤油」ですね。たしかに、モレなく、ダブりなくになっていて、すぐに覚えられました。わかりやすい”たとえ”が良いですね。

6.目的と目標の違い

 仕事柄、目的と目標の違いがごっちゃになる場面に多く遭遇します。(ごっちゃになっている人に説明するもの一苦労です)本書では、『目的を追求するために特定の手段を選択し、その手段での達成目標を決める』と説明されています。しかし、(ゴールをまず決める)トップダウン型なのは理解できるのですが、目的における目標(目標の連結が戦略)を設定し、それから、その目標を達成するための戦術(つまり手段)を決定するのではないかと思います。つまり『目的←手段←目標』ではなく、『目的←目標←手段』ではないか?と私は思います。

7.4S手順を日常的に踏襲せよ
8.ステートメントに分解せよ
9.全体をひと言に要約せよ


Statment: 1つの意味だけを明確に表現した短い文のこと
Sticky note: 適切なキーワードを付箋紙に書き出すこと
Sequence: 試行錯誤を繰り返し、キーワードをきれいな順序に並べること
Summary: 整理した情報をまとめて一言で表すこと

 「4S手順とは何か?」ということに注目しました。この4Sは具体的には上記の通りです。この手順をふむことによって、文章を解読できるだけでなく、オリジナルのアイデアを一から組み立てることも可能になります。ステートメントに分解することによって、文章が簡潔になるため、理解が進みます。また、的確に要約することにより、迅速に概要を伝えることが可能になります。これらは、文章を書くときに非常に大切なことですね。
 
【感想】

図解の方法をしっかり理解する良いテキストだと思いました。3つの力(前に踏み出す力・考えぬく力・チームワークで働く力)を上げるために、図解は非常に役立つことが理解できました。後半の4S手順をふむことで、複雑な文章を理解したり、新たなアイデアを生み出したりすることができそうです。

【参考文献】
1.
ロジカル・ライティング
照屋 華子
2006
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