2008年8月27日水曜日

ワークショップデザイン


ワークショップデザイン――知をつむぐ対話の場づくり

堀 公俊,加藤 彰

2008


【読書の目的】

よりよい勉強会やミーティングを開催したいので、創造的な話し合いの場を創り出すポイントを学びます。初心者なので基礎編までを俯瞰的に読むことにしました。


【感想】

この本は、ワースショップの企画や設計について総合的に紹介しています。ワークショップのスキルはこれまで言葉で伝えにくかったため、なかなか習得できないものだったそうです。そのスキルを体系化し誰もが使えるように解説されています。実際に、写真や図解がふんだんに使われていて、本書自体が人に伝えようという意思が伝わってきます。初心者の私ですが、なるほど〜とうなづきながら読み進めていくことができました。

本書は、

  ・チームで仕事をしていて、一丸となって進めていきたい
  ・よりよい学びの場を提供したい
  ・ミーティングをもっと良くしたい

という方におススメします。


【注目の3ポイント】

《1.ワークショップは会議や研修とは違う》

ワークショップとはどういう意味でしょうか?「工房」「仕事場」「作業場」という意味だそうです。みんなでワイワイ道具を使って作品を仕上げていくイメージを思い浮かべると分かりやすいですね。参加者が主体的に創造したり、学んだりする場ですね。これに対して、会議や研修は「工場」のイメージです。参加者の当事者意識は低く、人まかせな雰囲気が一般的です。組織をまとめるには良いですが、創造性が必要な場合には、会議や研修では良いものが生まれなさそうですね。


《2.ワークショップの5つの特徴》

  1. 参加:多様なメンバーの主体的な参加。
  2. 体験:メンバーの体験を持ち寄り、それをもとに活動を組み立てる。
  3. 恊働:対話しながら活発な相互作用(相乗効果)を起こす。
  4. 創造:1人では創れないような創造物をみんなで創る。
  5. 学習:参加者同士の相乗効果によりより多くの学びを得る。

主体性と相互作用がワークショップの決め手です。フォトリーディング講座でも、速読のスキルだけでなく、これらの要素を学ぶことができました。

《3.ワークショップの3要素》

初心者である私は、まずここを押さえておく必要があります。ワークショップを支える3要素があると言います。

   1.チーム:誰がどんな環境に集まるのか?
   2.プログラム:何をどういう順番でやるのか?
   3.ファシリテーター:どうやって臨機応変に対応しながら進めていくのか?

本書のタイトルでもあるワークショップデザインとは、1と2を指すそうです。さらに、ワークショップデザインの土台になるのがコンセプトです。ゴールと言い換えても良いでしょう。

 ・何のためにワークショップをするのか?
 ・何を実現したいのか?何を生み出したいのか?
 ・どんなことが起こって欲しいのか?
 ・何をみんなに伝えたいのか?
 ・何を持ち帰ってもらいたいのか?

● コンセプトの記述例

NG 社内でファシリテーションを普及させる。
OK 「ファシリテーションってよく耳にするけど、何だろう?」と思っているミドルマネージャー階層の人に、基本的な考え方と、すぐに使えるスキルを3つほど持ち帰ってもらいたい。

このように「誰に」と「何のために」を具体的にコンセプトに盛り込んでおくことが大切なのだそうです。


【関連記事】

● 吉田 新一郎 会議の技法
人類の進化上で進歩がない分野は3つあるといいます。その3つの分野には会議が密接に関係しています。本書は、会議を成功させるための考え方を教えてくれました。

● 開米 瑞浩 仕事が10倍速くなる最強の図解術
議事録の図解法について記事にしています。

● 山田ズーニー 伝わる・揺さぶる!文章を書く 2001
議題を問いにすることが、議事録の書くコツなのだそうです。

● 吉田 新一郎 効果10倍の“教える”技術
よりよい学びの場を提供する大切さについて記事にしています。今回紹介した本の参考書の1冊でもあります。


【参考サイト】

* mnishikawaの日記:ワークショップデザイン
mnishikawaさんもワークショップをより良いものにするためにはと悩まれていたそうです。この本が活躍してくれそうだとコメントされています。やはりこの本は良い本ですね。


【読みたくなった本】

■ 堀 公俊,加藤 彰 ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法 2006
表紙がおしゃれですね。セットで揃えたくなります。


【今日の折り目】

6折/86ページ (239ページのうち基礎編までを読了)
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。


【満足度】



(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません


【目次】

まえがき
第1章 導入編—いまワークショップが熱い!
第2章 基礎編—ワークショップをデザインしてみよう
第3章 技術編—アクティビティを使いこなそう!
第4章 実践編—さまざまな場面で実践してみよう!
第5章 研究編—ワークショップはつくり込みで決まる!
第6章 熟達編—ワークショップ・デザインの力を高める
ブックガイド
あとがき
アクティビティー・カード

【読書カウンター】

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今月は、あと3冊!

【ひとこと】

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