2008年8月7日木曜日

いま、すぐはじめる地頭力


いま、すぐはじめる地頭力

細谷 功

2008


 『地頭力を鍛える』の続編です。書店で見かけて購入しました。タイトルの「いま、すぐはじめる」が重要な細谷さんからのメッセージです。セミナーで聴いたことを実践するのは5%くらいという千葉さんのコメントを思い出しました。


【読書の目的】

 前著よりも地頭力を詳しく解説し、日常に使える具体的な実践法が本書には盛り込まれているそうです。細谷さんが書かれている通り、“何をするか”ではなく“どう考えるか”を意識しながら、「結論から」「全体から」「単純に」という地頭力の基本思想を学ぼうと思いました。


【感想】

 道具や枝葉末節にこだわるから完成しない。恵まれない環境こそが地頭力を鍛える。仮説思考力が目的達成を加速する。というのが本書のキーフレーズです。

 継続力を身につけたい方、自分の環境に不満のある方、今すぐ結果を出したい方におススメします。


【注目の3ポイント】

《1.いい上司に恵まれることは地頭力の成長を妨げる》

 世に言う「いい上司」は、部下の教育熱心で、指示が明確であり、物わかりが良く、部下の失敗の責任をかぶってくれるイメージですね。しかし、これでは部下は頭を使うことなく指示に従っていれば良いことになります。これでは考える力が鍛えられませんね。むしろ「ダメ上司」のほうが、地頭力を育てるにはいい環境なのですね。

 個人的に「目から鱗」な細谷さんの言葉を引用します。

 コミュニケーション力を上げる最良の方法は、通信教育の教材で勉強することでもプレゼンテーションの練習をすることでもありません。それは「こちらの言うことを理解してくれない人」と付き合うことです。


《2.カーナビに学ぶ仮説思考》

 仮説思考のモデルであるカーナビと脳内ナビのポイントを挙げます。比較してみましょう。

カーナビの仮説思考のポイント

・最終目的地に最適な方法で到達することを片時も忘れず覚えている
・そのときにある最善の情報を用いて、つねにその時点での最適解を算出する
・常に最新情報を入手して、当初の答えをその都度更新していく

人間の脳内ナビのポイント

・柔軟性がある
・気まぐれ
・ときに基本動作に忠実でなく、目的地を忘れる
・怠け者で、寄り道しがち
・はじめに決めたルートに固執して、そのルートを走ること自体が目的になる

 人間に比べて、カーナビがいかに目的を見失うことなく、目的地に到達出来るかがよく分かる例ですね。この他にもトリアエズ28号という人間風のカーナビの話が「あるある」という感じで、とても面白いです。

《3.短時間で成果を出す思考法》

 人間は無意識のうちに、時間のない状態で最善の解を導くために「最終目的地から逆算して考える」という仮説思考を実践しているそうです。ポイントは、時間が制限されていることと、目的地から逆算しているということですね。

 また、最初から100点満点を目指すのではなく、65点程度を目安にスピーディーに先に進むことも大切なのだそうです。とりあえず、全体を把握し、そのあとで完成度を高めていけばいいのですね。

 さらに、難しく考えすぎないことも大切なのだそうです。抽象化して鳥瞰的に考えるということですね。


【関連記事】

● 千葉 智之,中川 ミナ 出逢いの大学
 新しい人たちと出会うためには、昨日と違うことをしなきゃダメなんです。とは千葉さんのメッセージです。

● 東洋経済新報社 Think! 2007年春号 No.21
 細谷 功さんの記事が掲載されています。フェルミ推定の有用性について書いています。

● 表 三郎 答えが見つかるまで考え抜く技術
 考えることへの2つのハードルは「考えはじめる」と「しつこくあきらめない」なのだそうです。考え抜くということは、表先生の本が参考になります。

● PHP研究所 THE 21 2008年 01月号
 「離見の見で、自分のプレゼンを客観的にみる」とは、原尻淳一さんの言葉です。離見の見とは、離れて考える地頭力と繋がるのでしょうね。

● 本田 直之 レバレッジ・シンキング
 幾度となく引用している本ですが、ゴール思考が成功の近道だと本田さんは言います。


【読みたくなった本】

地頭力を磨くには、速読だけでなく、“考読”も必要なのだそうです。六章には、細谷さんの“考読”のための推薦書がたくさん紹介されています。

■ 佐藤 可士和 佐藤可士和の超整理術 2007

■ 広中 平祐 生きること学ぶこと 1984

■ 岡部 恒治 考える力をつける数学の本 2006

■ G. ポリア,柿内 賢信 いかにして問題をとくか 1999

■ ポール・スローン イノベーション・シンキング 2007

■ エドワード・デボノ,白井 実 水平思考の世界―電算機時代のための創造的思考法 1971

■ 波頭 亮 思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践 2004

■ バーバラ ミント,山崎 康司 考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則 1999


個人的には、この本がオススメです。復習します。

■ 妹尾 堅一郎 考える力をつけるための「読む」技術―情報の解読と解釈 2002

こちらも読んでみようと思います。フェルミ推定問題集が出たら買ってしまいそうです。(笑)

■ 細谷 功 地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 2007

【本日到着の新着本】

■ 川島 冽 5分で送信! ビジネスメール 速書き文例集 2008
 最近、メールをきっちり書く機会が増えてきたので、勉強します。





■ 堀 公俊,加藤 彰 ワークショップデザイン――知をつむぐ対話の場づくり 2008
 近々、ミーティングを開催する予定があるので、成功させたいので読みます。





■ 斎藤 岳 1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術 2008
 意義のある会議にしたいので勉強します。


【今日の折り目】

30折/238ページ 
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。


【満足度】



(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません


【目次】

まえがき
第一章 ウォーミングアップ 「地頭力」を自己診断してみよう
第二章 大前提 「地頭力のある人」と「ない人」の違いを考えてみよう
第三章 心がまえ 「考えはじめる」ために、三つの「意識」を持とう
第四章 実践トレーニング 眠っている地頭力を呼び覚まそう
第五章 力試し フェルミ推定を解いてみよう
第六章 Q&A よく聞かれる疑問にお答えします
あとがき


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