会議で意見は述べるなと言われたらどうしますか?
こんにちはchampleです。
今回ご紹介するのは、清宮 普美代さんの『質問会議』です。質問会議とはその名の通り、質問によって進めていく会議のスタイルです。質問会議には、問題を解決する過程で、参加者が成長できる仕組みが組み込まれて、従来の会議よりも飛躍的に生産性が増すのが特徴だそうです。
著者の清宮 普美代さんはアメリカでアクションラーニングについて研究を重ね、その技術を日本に初めて導入されたそうです。現在は、NPO法人日本アクションラーニング協会の代表を務められています。質問会議とは、アクションラーニングをもとにした著者の造語です。
会議なのに質問だけでなぜ、生産性が上がるのか?とても気になるタイトルです。
ではいってみましょう!
【概要】
第1章 なぜ、あなたのチームは機能しないのか
● 質問会議を始めて体験した印象は?
とある会社の複雑で難解な問題が、質問を繰り返していくことで問題の輪郭が明確になり、ついには行動可能な計画が目の前に出来上がっていた。質問中心のやりとりによって、投げかけられた質問が「他人の思考」のスイッチを入れ、それが連鎖してみんなの思考がスパークしていくような不思議な感覚だった。
これが、著者がジョージワシントン大学で初めて体験した「質問会議」の印象です。
● 失われた「チームの場」に気付いているか?
従来の終身雇用、年功序列の日本では仕事に対する価値観はほぼ同じだったため、「チームの場」を作りやすかった。しかし、最近の人材の流動化や成果・業績主義の取り入れによって昔ながらの「チームの場」は失われてきている。例えば・・、
・目標だけで計画だおれ、実行力が弱い
・上から落ちてくる仕事をダウンロードして、それをこなすのに精一杯
・チーム内でサポートし合う意識が希薄
・忙しすぎて、若手の教育が進まない
これらは、チーム力が低下している状況の例です。
したがって、これからは生産性を高めるためには、意識して「チームの場」を作り、チーム力を結集する必要があります。
● これから求められるリーダーシップとは?
「20年前の上司なら、部下の疑問・質問には100%の回答をもって導いてくれた。・・」とは、ある大手の企業人の言葉です。
社会が多様化し、変化が急速なために、うまくいった方法がすぐに通用しなくなってきています。つまり、従来型の指示をするだけのリーダーシップは機能しなくなってきているということです。リーダーだけの経験に基づく指示だけでなく、チームメンバーの現場感覚がより必要となります。
したがって、いま必要なリーダーシップとは、解決策をチームメンバーから引き出す事のできる力だと言えます。(支援型リーダー)
実は質問会議には、機能的な「チームの場」を作り出すとともに、チームをマネジメントする手法も習得できる仕組みがあるのです。これが、質問会議の中心概念です。
第2章 基本の流れをおさえれば誰でも質問会議ができる
● 質問会議のエンジンは何か?
アクションラーニングは、物理学者レグ・エバンスの言葉に基づいている。
「行動から学ぶ、学びから行動する。」
つまり、質問会議は実践知の集約です。
● 質問会議の8つポイントとは?
- 参加者とその役割
- ALコーチの設定
- 時間とその配分
- 基本ルール〈質問中心〉
- 基本ルール〈振り返りとALコーチ〉
- 現実の問題〈本当に困っている等身大の問題を扱う〉
- 行動計画と実施
- 成長と変化に対する意識づけ
● 質問会議を進める12ステップ
- 2つの基本ルールの提示と確認=質問中心・振り返りの時間をとる
- チーム規範の設定
- 問題の提示
- 質問で問題を明確にする
- 途中の振り返り=新しい視点でのアプローチ
- 問題を再定義する
- 同意できないことの意味
- 問題がテーブルの真ん中に
- 目標・ゴールの設定
- 行動計画の作成
- 全員の行動=サポートを誘発する
- 振り返り
第3章 紙上で体感!これが質問会議だ
12のステップ順に進められえている質問会議の分かりやすいデモが掲載されています。共鳴質問と名付けられた問題を明確にし、共有するための質問が出た瞬間を体感できます。
● 質問会議の特徴
・声の大きな人や、役職者が会話を独占しない
・お互いの話をよく聴き合う
・参加者それぞれに気づきが生まれやすい
・「本当の問題」が分かる
など
● 意見会議の特徴
・問題の断定
・一人ひとりが考えて、自分の解決策を提示
・助言が受け入れられるか不明(実際に問題解決行動が行なわれるのか不明)
● 質問会議で培われるリーダーシップ
変化の激しい今日に必要なのは、支援型リーダーである。
リーダーは自分が解決策を提供するのではなく、このように自立的に解決策を作り出せるチームづくりがメインの仕事になる。質問会議で練られた解決行動は本当にチームで納得したものになっているので、必ず行動を起こすことができる。
第4章 質問会議で鍛えるチーム力
● 質問会議で開発される3つの力
1. 問題解決力
2. チーム脳結成力
3. 個人的能力
チームをまとめながら問題解決を進める質問会議では、個人的な能力も向上します。たとえば、質問することによるコミュニケーション力の向上と思考することによるフレームワークの拡大力などです。
● チーム脳を誘発するための感情的マネジメント
質問会議では、多様な人材を複数名集めて行ないます。そのため、リーダーには、チームをマネジメントする能力が必要とされます。特に重要なのが、「共有」と「共感」をマネジメントすることです。
「共有」とは、チームとしてのビジョンの共有・論理的調和です。
「共感」とは、信頼・感情的調和です。
「共有」だけではチーム力の向上に限界が生じます。そこで2つめの「共感」が必要になるわけです。この2つがあってはじめて効果的なチームワークが生まれます。
どんなに論理が正しくても、相手からの共感が得られなければ人は動いてくれません。
● チームにとってのグッドクエスチョン例
・判断の入らない、素直な短い問いかけ
・質問と回答の流れを意識した、繋がる問いかけ
・共感をもった問いかけ
第5章 質問会議が現場を変えた!
質問会議で変化が起こった現場の例があげられています。質問会議の効用が複合的に現れた結果です。
【マインドマップメモ】
共鳴質問によって働き出した「チーム脳」によって、問題はさらに深く掘り下げられ本質に近づきます。また、「チーム脳」を引き出す支援型チームマネジメント法も重要です。
【感想】
私が一番注目したのは、支援型リーダーシップです。上司・部下を含め、異なる部署の担当者とともに質問会議をすることによって問題の本質にせまり、的確な問題解決方針を立てることが出来そうです。また、確実な行動から次の問題に備えることができるでしょう。
非常に画期的な会議法を解いた、非常に素晴らしい1冊でした。おススメします。
【今日紹介した本】
■ 質問会議 なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか? 清宮 普美代 2008
【読書の目的】
質問会議を理解して、問題解決に活かす。
【関連記事】
● 会議の技法
● 1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術
● 1の力を10倍にする アライアンス仕事術
【参考サイト】
* アクションラーニングとは|NPO法人 日本アクションラーニング協会
【読みたくなった本】
■ アクション・ラーニング デービッド・A. ガービン,David A.,沢崎 冬日 2002
■ 実践 アクションラーニング入門—問題解決と組織学習がリーダーを育てる マイケル・J・マーコード,清宮 普美代,堀本 麻由子 2004
■ 「チーム脳」のつくり方~成果を上げつづけるリーダーの仕事術~ 清宮 普美代 2009
【やまかわポイント】
91 pt (高得点!)
【目次】
はじめに
第1章 なぜ、あなたのチームは機能しないのか
第2章 基本の流れをおさえれば誰でも質問会議ができる
第3章 紙上で体感!これが質問会議だ
第4章 質問会議で鍛えるチーム力
第5章 質問会議が現場を変えた!
あとがき
【バックリンク】
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2 件のコメント:
チームメンバーの現場感覚!
ここ2~3年ですごく変ってきてる気がします^^;
私の周りでは
「固くて強いチーム」よりも
「柔軟で早いチーム」の方が伸びているように感じる今日この頃です。
そしてそこには「支援型のリーダー」が!!
気づきの多い記事でした。ありがとうございます☆
Dr.OGA さま
さっそくのコメント感謝です!
「柔軟で早いチーム」ですか・・。
なるほど。
支援型リーダーシップはアライアンスでは必須の能力な気がします。
多くを“気付い”て頂き、ありがとうございます。
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