ラクして成果が上がる理系的仕事術
鎌田 浩毅
今回は、先日紹介した『頭がよくなる照明術』を探しに書店に行った時に、見つけた本を紹介します。タイトルの「ラクして・・」というのが何とも魅力的だったので、即買いました。
全体は、3部構成になっていて、それぞれ、”集める””整理する””アウトプットする”について、具体的なコツとともに説明されています。ただ漫然と学んだり教養を積んだりする「知的消費」ではなく、はっきりした形をもった知価の高いものを生み出す「知的生産」ことを目的として本書は書かれたそうです。
本書を、ひとことで要約すると、「仕事をゴール思考で考え、トップダウン型で目標を立てて、簡単なところから達成していく。」ということだと思います。
【目次】
はじめに
第I部 アタマも周りもまずは一新!
第1章 頭の中の準備術
第2章 仕事環境の整理術
第3章 賢い情報収集
第II部 無駄なデータをなくすデータ整理術
第4章 無駄をなくすデータ整理術
第5章 クリエイティブな魔法の発想術
第6章 発想をメッセージへと変える技術
第III部 いよいよ書き出す!
第7章 書くことをラクにする技術
第8章 文章をわかりやすく仕上げる技術
第9章 未来のアウトプットへと助走する技術
おわりに
【注目ポイント】
《1.完璧主義を捨てる》
第一章では、文章を書き上げるための心構えが紹介されています。特に、完璧主義を捨てるのと、できることから書き始めるというコツが参考になりました。引用しておきましょう。
じつは、完璧主義とは自己満足の世界なのだ。もっとよくしよう、と思って必要以上のデータを集めたり思索したりすることにより、自分は満足し安心する。
しかし同時に、来るべきアウトプットからは、だんだん遠ざかってゆくのである。いったん完全主義に陥ると、それに気づかなくなってしまう。
余計な情報を集めすぎないために、まず、全体の枠組みを作るとよいそうです。重要なのは読者にとって、必要とされる知的生産物を提供することだからですね。
たとえば、ある章や節がうまく書けなかったら、そこに拘泥しない。ラクに書ける箇所から書きはじめるのだ。すこしでも仕事が進んでいれば、精神的にも負担がかからない。
例として、ジグソーパズルを思い浮かべてみよう。隅から順番に埋めていく人はいない。うまくピースの合うところから、だれでも埋めてゆくではないか。最終的に全部が埋まればよいのであって、どこから埋めてもかまわないのだ。
これはとても的を得た例えですね。埋められるところから埋めていく。簡単な問題から解くという受験テクニックの応用のようでもあります。
《2.資料の処理を工夫し、書く前にコンテを書く》
資料を読み込んでいく時に、非常に便利だと思ったのが、クロスリファレンスです。クロスリファレンスとは、データを互いに導き出せるようにする仕組みで、相互リンクを資料間で作るということです。また、プレゼン資料や、文章を書き出す前に、思考と作業を分けて行なうと良いそうです。それはどうするかというと、アイデアを紙などにどんどん書き出し、それを分けたりくっつけたりしながら、考えをまとめていきます。映画製作などでよく使われている手法で、コンテを描くと言われるそうです。
《3.構成のつくり方から文章の磨き方まで》
著者は、まず全体の構成を考えるために、話の大枠を3部に分けてみることを推奨しています。実際、本書も3部構成になっています。そこからさらにそれぞれの部を、3章・3節と分けていくことで、合計27(3×3×3=27)個の節が出来上がります。その各節に、メッセージを1つずつ埋め込んでいきます。また、まえがきには易しい内容を書くことにより、読者を引きつけることができるというのも参考になりますね。
文章の磨き方については、パラグラフライティングやトピックセンテンス、句読点のうちかたなどについて説明されていましたが、倉島 保美 さんの『論理的な文章が自動的に書ける!』と久恒 啓一 さんの『図で考えれば文章がうまくなる—「図解文章法」のすすめ』のほうが理解しやすいと思いますので、またの機会に紹介しましょう。
【読書後の感想ひとこと】
火山研究者である鎌田先生は、「日本には、資源がない。だからこそ、知的生産を行なう必要がある。」とあとがきに書かれていました。深く納得してしまいました。
【今日の折り目】
33折/261ページ
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。
【満足度】
4
(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません
【読書カウンター】
★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆ ☆☆☆ 今月は、あと15冊!
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