2008年5月23日金曜日

51: 文章力の鍛え方


文章力の鍛え方 わずかなトレーニングで格段に上達する

樋口 裕一

2007

 今日は、樋口 裕一さんの『文章力の鍛え方』をご紹介します。分かりやすく、読みやすい文章を書き方を学んで、ブログを充実させたいと思って、この本を読むことにしました。

 自分でものを考え、分析し、どの方向に進むべきかを自分で判断するだけでなく、それを人に伝える必要が、これからますます必要になります。そのために、文章力を鍛えることが最も大事であると樋口さんはい言います。以下に、文章を書くことによる効用について、引用します。

 文章を書こうとすると、しっかりとものごとを考えます。書こうとしなければ見えないことも、書こうとして考えるからこそ見えてきます。そして、実際に書こうとしてこそ、論理的にものごとを分析できます。そうしてこそ、話もしっかりとできて、論理的な会話ができるようになります。会議での発言も、文章を書けるようになってこそ、自信を持ってできるようになるのです。

 樋口さんは、これまで25年以上もの間、文章指導を行なってきたそうです。現在も通信添削を通して、子供から大人まで、多くの方の文章力がアップしたそうです。この本では、この経験に基づいて、特に効果の高い文章鍛錬法を60以上も解説してくれています。


【目次】

はじめに めきめき文章力がつく方法
PART 1 文章力とは何か?
      それがわかれば文章や会話は組みたてられる
PART 2 「描写力」と「表現力」
      日々の生活の中で鍛えるヒントをつかむ
PART 3 「意見」を考える
      立場と矛盾から論理力を磨く
PART 4 心に届く文章
      頭で考えるのではなく実際に書いてみる
終わりに 


【注目の3ポイント】

《1.文章を書く基本とは?》

 文章を書く第一歩として、樋口さんは以下の3点を挙げられています。まず、文章の主語述語をはっきりさせること。次に、一文を意識して短くすること。これは、文が長くなると文章的な間違いが起こりやすくなるからです。最後に、読点を適切に打つこと。打つ場所は神経質になることはないようですが、最低限意味の通るように打つと良いそうです。

 小論文・プレゼンテーションなど何かを考える時に基本形になる文章構成を提案されています。それは、以下の四部構成です。

(1)「〜だろうか」と問題提起して
(2)「たしかに」で反対意見に譲歩しつつ、「しかし」で自論を示します
(3)「なぜなら」でその根拠を言って
(4)「したがって」で結論に到達します

 このように、四部構成で考えることによって、話が分かりやすくなるだけでなく、論理的な内容になります。これは、実は科学論文でも使われる方法です(*1)。

《2.多角的な思考が、論理を強化する》

 基本的に、私たちはものごとに対して、最初は自分の考え方からしか見る事はできません。これが、視野の狭さということです。しかし、”バランスのいい人”は、そこからさらに様々な経験や知識を織り交ぜながら多角的に考察していくそうです。

 また、新しい考えを得たいときや、自分の考えを検証したいときには、他人の立場になって考えるようにします。さらに、具体的な考えをイメージする場合は、「あの人ならどう考えるだろう」と、特定の他人になりきると良いと樋口さん言っています。他人になりきるといえば、「わたしは犯人だ!」って言いながら捜査をする、Monsterに出てくるルンゲ警部を思い出しました(*2)。

 これによって、視野が広がるばかりでなく、人を思いやることを意識することができるので、人に優しい文章が書けるようになります。これは、いいですよね。憶えておくといい方法ではないでしょうか?ここで紹介されている多角的な視点によるものごとの考察は、勝間さんが『効率が10倍アップする新・知的生産術』で説明されている、”知の三点測量法”にも繋がりますね(*3)。

 最後に、「乱暴すぎる仮説を立てる」というのも良い方法だなと思いました。竹内さんが『99・9%は仮説』に書かれているように、世の中は”信頼性のおかれた”仮説で成り立っています(*4)。したがって、直感的に乱暴すぎる仮説を立てることによって、新たなアイデアが思いつくのではないかと読みながら考えました。それから、児玉さんが『直感力』で言うように、アイデアを左脳で分析していけば良さそうです(*5)。思いつきやひらめきには、必ず答えを用意しておくべきと樋口さんも書かれています。

《3.会議に出たら補足か反論をする》

 会議では、限られた時間で議題をこなす必要があり、スピードが求められます。樋口さんは、1分で話をまとめるよう本書で主張しています。この1分のまとめを、先に書いた四部構成を意識しながら、会議で発言するとよいそうです。これによって、会議全体も、「問題提起→反対意見→正論→その根拠→結論」と流れていくようです。問題提起といえば、山田さんの『伝わる・揺さぶる!文章を書く』での議題を疑問型にするというのを思い出しました(*6)。


【読書後の感想ひとこと】
 コミュニケーションが上手くできると、文章も上手く書けるそうです。これは、文章を読んだ相手の反応を想像できるようになるから、意識して上手い文章が書けるようになるのですね。コミュニケーションについても勉強しようと思いました。


【関連記事】

1.勝間 和代 効率が10倍アップする新・知的生産術—自分をグーグル化する方法
2.竹内 薫 99・9%は仮説
3.児玉 光雄 直感力


【参考書籍】

(*1)阪田 せい子 だれも教えなかった論文・レポートの書き方 1998
 自分の研究テーマに関して、支持か反対するために文献を引用する必要性を説明しています。

(*2)浦沢 直樹 Monster (1) 1995
 とても人気のあるミステリーコミックです。アニメ化もされました。これに出てくるルンゲ警部は、犯人になりきって、事件解決に迫ります。

(*3)勝間 和代 効率が10倍アップする新・知的生産術—自分をグーグル化する方法 2007
 知の三点測量法(複眼的な視点の構築)について、解説があります。

(*4)竹内 薫 99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 2006
 「飛行機が飛ぶ原理は、実はよく分かっていない」など、世の中のいろいろな仮説を紹介しながら、仮説の信憑性について解説しています。

(*5)児玉 光雄 直感力 直感力 「上手に決断できる人」になる脳力トレーニング 2006
 右脳をうまく使って、直感力を磨いて、上手にものごとを判断しようという本です。

(*6)山田ズーニー 伝わる・揺さぶる!文章を書く 2001
 議題を問いにすることが、議事録の書くコツなのだそうです。


【今日の折り目】

36折/220ページ 
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。

【満足度】



(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません

【読書カウンター】

★★★★★ ★★★★★ 
★★★☆☆ ☆☆☆   今月は、あと5冊!

【バックリンク】

◦ 伝わる・揺さぶる!文章を書く
◦ 書き方のコツ、話し方のワザ
◦ 非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門


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