2008年5月29日木曜日

56: 図で考えれば文章がうまくなる


図で考えれば文章がうまくなる―「図解文章法」のすすめ

久恒 啓一

2005

 今日は、久恒 啓一先生の“図解文章法”をご紹介します。久恒 啓一先生は、日本航空に勤める傍ら、「知的生産の技術」研究会で活動されていたそうです。その後、宮城大学で学生に文章法を指導され、現在は多摩大学にいらっしゃるそうです。

 文章を上手く書くために、この本を読むことにしました。

 はじめには、この本の目的が書かれていました。引用します。

 「良い文書を書きたいけれど、どうしたらよい文章を書けるようになるのかがわからない」という人のために、『図解文章法』という新しい文書の書き方を提案することです。

 いつも、どうしたらより良い文章が書けるのかと考えていた自分にとって、ぴったりな一冊だと思いました。


【目次】

はじめに
第一章 「文章読本」は何を語ってきたか
第二章 「文章読本」に足りなかったもの
第三章 図解文章法
第四章 実践:図解文章法
第五章 文章論・文章術と、文章法


【注目の3ポイント】

《1.“文章読本の名著”を図解する》

 第一章では、これまでに出版されている文章の書き方を解説した、5冊の本を図解してまとめています。

  ・谷崎 潤一郎 文章読本 1975
  ・清水 幾太郎 論文の書き方 1959
  ・本多 勝一 日本語の作文技術 1976
  ・木下 是雄 理科系の作文技術 1981
  ・野口 悠紀夫 「超」文章法 2002

 これらの図解から、文章を書くための9つのポイントを列挙します。

    1.分かりやすく、また、記憶に残るように書く。
    2.あるがままに書かない、曖昧な接続助詞 “が” を多用しない。
    3.短文が長文の基礎
    4.主題を1つ設定する
    5.事実と意見を区別する
    6.パラグラフを意識して文章をまとめる
    7.意識して読点をうつ
    8.誤解のない修飾を心がける
    9.メッセージを打ち出す

《2.書く前にやるべきこと》

 文章読本の名著のまとめによって、文章技術が体系化されたことがわかります。ここで、久恒先生が指摘するのは、「文章の各段階での技術はわかっても、どうやって考えるのか」が分からないということです。本書では、『梅棹 忠夫 知的生産の技術 1969』をもとに、書く前の前段階としての考える必要性を説明しています。

 そこで、この考えるという作業を助けるのが、図解文章法なのです。図解の利点について、引用しておきます。

 図を一枚の白紙に描くことに重要な意味があるのです。ちょうど鳥が空から街を見下ろしたときのように、すっきりと全体を見渡せるほどの情報量になるからです。《理解》
 このような状態で情報を眺めていると、余計な部分・足りない部分というものがよく見えてきます。情報同士の関係を確認していくうちに新しいアイデアが生まれることがあります。それもすぐに図に書き加えることができます。《思考》
 図を相手に見せると、相手も鳥の視点を持つことができます。同じ視点を持つと議論が上滑りすることなく、話がかみ合うことでしょう。《伝達》

《3.文章術の基本は“簡・明・短・薄”》

 最後に、久恒先生のお勧めの文章術を紹介します。

  ・ポイントがどこなのかがすぐわかる、簡潔な文章
  ・論旨が曖昧でなく、明快な文章
  ・長々と説明しない、センテンスの短い文章
  ・以下の結果としての、薄い文章


【読書後の感想ひとこと】

 久恒先生は、図でものごとを考えることを大学で講義されているそうです。

 講義を受けた学生のうち、文章を書くことが苦手だった学生ほど「生まれて初めて文章を書くのが楽しかった」「自分でも信じられないくらい、すらすらとペンを走らせることができた」という感想を持つのだそうです。

 久恒先生は、文章を書くことに図解を導入することによって、まるで“革命”が起こったかのようだと書かれています。

 “図解文章法”は、とても優れた文章法の1つと言えるでしょうね。


【関連記事】

1.理解する技術
 図表を作りながら読むことで、理解がはやまります。

2.THE 21 2008年 01月号
 久恒 啓一先生の記事が掲載されている雑誌です。

3.ラクして成果が上がる理系的仕事術
 文章の構成のつくり方について、説明しています。

4.文章力の鍛え方
 樋口 裕一さんの文章の “型” を紹介しています。


【参考サイト】

(1)NPO法人 知的生産の技術研究会 - NPO法人 知的生産の技術研究会
(2)久恒啓一図解WEB

【参考書籍】

1.勝間 和代 効率が10倍アップする新・知的生産術—自分をグーグル化する方法 2007
 雲・雨・傘の思考法が、久恒先生の説明する事実・論理・意見の例えになっています。

2.倉島 保美  論理的な文章が自動的に書ける! 2003
 パラグラフライティングについて、詳しく解説されています。

3.西村 克己 図解する思考法 2002
 図解の詳しい描き方や、応用例が説明されています。


【今日の折り目】

30折/253ページ 
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。

【満足度】

5 (座右の書)

(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません

【読書カウンター】

★★★★★ ★★★★★ 
★★★★★ ★★★   今月、目標達成!!

【バックリンク】

◦ 伝わる・揺さぶる!文章を書く
◦ 「わかった」と言わせる説明の達人に変わる本
◦ “ビジュアル式”メモの達人
◦ 図解する思考法

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