理解する技術 情報の本質が分かる
藤沢 晃治
2005
今日は、藤沢 晃治さんの『理解する技術』をご紹介します。ネット・書籍・論文・セミナーなどの大量の効率よく理解し、仕事に応用したいと思って、この本を読むことにしました。
まえがきでは、情報洪水の中で溺れないためには、「自分自身で分かりやすく理解する」ことが大切である。また、情報を受信する際には、アウトプットすることを心がけることが大前提であると藤沢さんは述べています。これまで紹介した、土井英司さん・日垣 隆さん・鎌田 浩毅さん・勝間 和代さんは、いずれもアウトプットの重要性を指摘していましたね。
【目次】
プロローグ こんな経験はありませんか?
第1章 アウトプットしながら情報収集する
第2章 分かりにくい文章から意味を読み取るには
第3章 文章か ら情報を読み取る基本テクニック
第4章 情報を手っ取り早くつかむテクニック
第5章 図表をつくりながら読むテクニック
第6章 記憶力を高めるテクニック
第7章 情報にだまされないテクニック
第8章 一夜漬けで乗り切る勉強テクニック
第9章 職場の情報収集テクニック
第10章 人から情報を 得るテクニック
効率的な情報受信のポイント
【注目の3ポイント】
《1.分かり難い文章から情報を吸収するためにするべきこと》
分かり難い文章から情報を読み取るための、いくつかのテクニックが示されていました。
まずはじめに、脳の情報処理の仕組みを知っておいて、それに合ったインプットをするということです。脳は、長い文章や構造がはっきりしない文章を処理するのが苦手なのだそうです。
認知心理学では、記憶は一次記憶と二次記憶の2つに分けて考えられるそうです。一次記憶のほうは、入ってきた情報を吟味、解釈するための作業場であり、本書では”脳内関所”と呼ばれています。二次記憶のほうは、一次記憶で処理した情報を長期的に保存することから、本書では”脳内辞書”と呼ばれています。
したがって、脳に理解し、記憶させるためには、まずこの”脳内関所”を通過させることが大切なのが分かりますね。このときに、「長い文章や構造がはっきりしない文章」は、はじかれるということです。さらに、短くて構造がはっきりしていることに加えて論理性があることも必要です。
”脳内関所”と”脳内辞書”の5つの機能を列挙しておきましょう。
1.情報の大きさをチェックする
2.脳内辞書の棚から必要な辞書を選ぶ
3.情報構造の分析をする
4.論理性をチェックする
5.脳内辞書に格納して意味を確定する
次に、因果関係を探すということです。これは、”脳内関所”の4つめの機能「論理性をチェックする」に関わります。私たちは、納得できないことは頭の中に入らないのだそうです。したがって、「なぜそうなるのか」「どうしてそういう結論になるのか」というある主張に対する根拠を探しながら読むと良いのですね。
最後に、過去の体験と照らし合わせるということです。「そうそう!分かる。分かる。」と深い理解が起こるのは、過去の体験と一致を強く感じるからだそうです。『「手帳ブログ」のススメ』では、このときにひらめきも起こる可能性があることを記事にしたことを思い出しました。
ひらめきは、ピカッとひらめくのではなく、順を追って手で手繰り寄せていくものであるそうです。つまり、ひとつのことを考え続けているときに、直接的ある いは間接的に、その物事に関連しそうな現象にであったときに、その2つの事柄が結びつき、それがひらめきとなるということです。山といえば川:手帳ブログ」のススメ
これらを考えながら、「分かり難い文章を」「分かりやすい文章に」置き換えることにより、理解することが可能になるのですね。
《2.文章から情報を集めるテクニック》
大量の文章を含む資料を読むのは大変ですよね。そんな時に効率的に情報を集めるテクニックが紹介されています。手続きの概要を列挙します。
1.ぼんやりと文章全体を眺める
2.大きな枠組みに注目する
3.メイン項目をおさえる
4.固まりの分かれ目をみつけ、要約を書く
5.「何が言いたいのか?」問いかける
+α 5W1Hで問いかける
《3.図表を作りながら読む》
私も普段、人の話を聞くときや、本を読むときなど、キーワードを図にすることが多く、とても理解しやすいと感じています。図は、キーワード間の関連を理解するのに、有用です。それに対して、表は、項目ごとに比較して理解するのに、非常に便利ですね。是非、使っていこうと思いました。
”理解する”とは、逆になりますが、”書く”際に注意すべきことが図解されて一冊にまとまったオススメの本を思い出しました。久恒 啓一先生の『図で考えれば文章がうまくなる』です。これまでに、出版された知的生産の良書のエッセンスがまとめられていて、非常に参考になる良い本です。(『ラクして成果が上がる理系的仕事術』の記事でも言及していましたね。)
【読書後の感想ひとこと】
この本の最後に、「効率的な情報受信のポイント」がまとめられていて、ここを憶えておくだけでも、十分日常の情報処理の助けになると思います。
【関連記事】
1.才能がある人の生活習慣
土井英司 成功するビジネス読書習慣で、「常にアウトプットを意識して読む」ことを勧めています。
2.鎌田 浩毅 ラクして成果が上がる理系的仕事術
資源がない我が国は、知的生産をどんどんする必要があるという意見に、納得させられます。
3.日垣 隆 知的ストレッチ入門
知的ストレッチの基本3原則のひとつ、「インプットは必ずアウトプットを前提にする」です。
4.勝間 和代 効率が10倍アップする新・知的生産術—自分をグーグル化する方法
インプット:アウトプット=5:5の比率を勧めています。
5.大橋 悦夫 「手帳ブログ」のススメ
「あるある〜」からのひらめきについて書いています。
6.鎌田 浩毅 ラクして成果が上がる理系的仕事術
文章の磨き方について、書く側のコツですね。
【参考書籍】
1.久恒 啓一 図で考えれば文章がうまくなる―「図解文章法」のすすめ 2005
【今日の折り目】
44折/209ページ
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。
【満足度】
3
(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません
【読書カウンター】
★★★★★ ★★★★★
★★★★★ ★☆☆ 今月は、あと2冊!
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