2008年4月26日土曜日

38: 昨日と違う自分になる「学習力」


昨日と違う自分になる「学習力」—向上心がわいてくる54の具体例

中谷 彰宏




 今回は、多数の本を書かれている中谷 彰宏さんの本から、「学習力」を紹介します。まえがきの前に書かれているメッセージを引用します。

先生にほめられるより成長を喜んでもらおう

【この本は、3人のために書きました。】
(1)学歴や学力を、逆転したい人。
(2)大人になってから勉強したくなった人。
(3)楽しみながら学習したい人。

 人間が一日あたりに判断する項目が60,000個もあるそうです。睡眠時間も夢の中で判断していると仮定すると、24(時間)と60(分)で割ると、一分間に42項目になります。これは、90秒に1項目のスピードです。これは、すごい判断力だと思いませんか。

 それで、これらの選択のうち98%は、パターンにあてはめて判断しているそうです。残りのたった2%が、パターンにはまらない、新しい判断なのですが、これが大切なのだそうです。この2%があることによって、人は「昨日と違う」人間に成長するからです。

 このパターンからズレていくことを、中谷さんは本書で学習力と定義しています。学習する大切さとコツが沢山書かれていました。

 詳細に入る前に、中谷さんが対比的に定義している「学力」と「学習力」について、説明しておきましょう。まずは、中谷さんの書かれている内容を引用します。

「学力」は考える力です。
「学習力」は考えない力です。

 私はこの定義が、本を読んだ後もよく分からなかったので、辞書『三省堂提供「大辞林 第二版」』を引いてみました。

【学力】
学校などにおける系統的な教育を通じて獲得した能力。教科内容を正しく理解し、それを知識として身につけ、その知識を応用して新しいものを創造する力。

【学習】
(1)まなびおさめること。勉強すること。
(2)〔生〕 生後の反復した経験によって、個々の個体の行動に環境に対して適応した変化が現れる過程。ヒトでは社会的生活に関与するほとんどすべての行動がこれによって習得される。

という意味です。『社会的生活に関与するほとんどすべての行動がこれによって習得される』というところが中谷さんの本を集約していると理解できました。


【目次】

まえがき
1章 アイデアは、学習力から生まれる。
2章 学習力は、「感じ取る力」である。
3章 学習力は、日常生活で身につく。
4章 学習力のある人は、向上心がある。
あとがき


【注目ポイント】

1章 アイデアは、学習力から生まれる。

5.アイデアは、落書きの中から生まれる。

学習力のない人は、アイデアを思いついたら書き始めます。
学習力のある人は、アイデアを思いつかないうちに書き始めます。
書いている作業の中からアイデアが出てくるのです。

アイデア帳に「意味のない落書き」がたくさんあるかどうかです。

6.ペンは、アイデアの神様からのアンテナだ。

ペンはアンテナなのです。
ペンを持つと、そこに空の上のほうからアイデアが飛んできて、それが紙に書かれるのです。

8.アイデアをタダで人にあげることで、アイデアはさらにわいてくる。

私なら、アイデアから収入を得るよりも、アイデアを出して次のアイデアが無尽蔵にわいてくるほうをとります。

10.学習とは、相手の文化を理解し、受け入れることだ。

理解できない人間が、理解できないものに対して「それはダメだ」という権利はありません。

11.ヒラメキをデザインすることで、アイデアになる。

デザインは常に具体です。
ヒラメキはモヤモヤとした抽象です。

 アイデアは、頭を使って生み出すというよりは、さらさら描きながら湧いてくるイメージなのでしょうね。

2章 学習力は、「感じ取る力」である。

14.先入観を捨てることで、直感力がつく。

直感力のある人は、経験を積み重ねても、初めてであったものをパターンにはめ込まないのです。

17.動かないものを見続ける力が、学習力だ。

学習力のある人は、動かないものを見続けることができます。

動くものは誰もが見ます。
動かないものをどう見られるかで差がつくのです。
そこに感性が働きます。

20.ロビーに1日座って眺めるのが、最高の学習になる。

一流のホテルマンは、世界中のホテルに勉強に行きます。
今バリの帝国ホテルの総支配人をしている三田村成之さんは、休みの日に世界中のいろいろなホテルに行って、ロビーに座っているそうです。
そして、1日座っていても全然飽きないで、とても勉強になると言うのです。

21.新しいことを勉強するより、復習するほうが得るものは多い。

一流になっている人は、予習をたくさんしたり、新しいことをたくさん始めた人ではありません。
復習を無限にやった人です。

25.タイトルが先にあって、後から中身ができるのが学習力。

本を読める人は、CDで言う「ジャケ買い」ができるのです。
タイトルで面白いと思ったら、中身を半分は想像しているのです。

26.一流のコーチは、言葉で、指導できる。

自転車の乗り方を、言葉で表現しようと思うと難しいです。
それをいかに言葉で表現できるかが大切なのです。

言葉で伝えようとする意欲を持つことが大切なのです。

 14.では、初めてであったものをパターンにはめ込まないためには、五感で感じることが大切だそうです。また、抜き書きしていたら、児玉 光雄 さんの『直感力』を思い出しました。次回紹介しましょう。

 25.では、先日記事にした『才能がある人の生活習慣』の「土井英司 成功するビジネス読書習慣」のところの本の選び方と組み合わせると、より良い本に出会えそうですね。

 26.では、技術を言葉に移し替えて伝える重要性が書かれています。私も日常的に技術を人に伝えています。これからは、このことを心に留めて、人に教えようと思いました。

3章 学習力は、日常生活で身につく。

29.映画の字幕を読める人は、すでに速読している。

映画の字幕は、13文字×2行が4秒間で消えていきます。

4秒間字幕を見ているわけではなく、絵も見ています。

早く読むことで、頭の回転もそれについてくるのです。

31.コピーをしているヒマがあったら、読もう。

オリジナルの原画をそのまま残そうと思えば、コピーをとったほうがきれいです。
でも、自分で描いたヘタな手書きは自分だけのモノになるのです。
それは微妙に違う味わいのものになります。

4章 学習力のある人は、向上心がある。

42.講師で行なった時にこそ、学ぶ。

本当の学習は、教える側にまわってからなのです。
教えてもらうときに学習するのではなく、誰かに何かを教える時に初めて学習できるのです。

43.向上心に「ココまでやればいい」はない。

44.「違う世界の成功者」から学ぶ。

イワン・ソープが「晩ごはんは、できるだけ違う業界の人と食べて、その人から学びたい」と言っています。

50.読んでいたような本を、やがて自分が書くようになる。

「いつか私も本が書きたいです」と言う人がいます。
必ず書けます。

徹底的にモノマネすると、あなたのスタイルが生まれます。

53.目に習い、心に習い、形に習い、手に習う。知性の基本はこの5つだ。

「書に五智あり」という言葉があります。
5智というのは、「目に習い、心に習い、形に習い、手に習う」ものなのです。
つまり、5つのポイントから書道は習っているのです。

学習している入り口をできるだけ多く設定することで、より多くのものを学ぶことができるのです。

54.成功の仕方を覚えれば、いつでも成功できる。

成功の仕方を覚えようと思うと、失敗も楽しくなります。

 42.は、教える時に学びがあるということですね。最近紹介した本では、小山 龍介 さんの『STUDY HACKS!』で以下のように述べられていました。物事を教える時にこそ、本当の学びがあり、理解が深まるということでしょう。

ひょんなことから、コーチになるためのワークショップに参加。今では、プロコーチとして他人のコーチを引き受けています。そして、コーチングをしながら、実は自分自身が学びをもらい、コーチされていることに気づくのです。


【読書後の感想ひとこと】

 中谷さんの本は、単文で構成されていて読みやすく、また実体験も多く含まれているので、とても参考になります。最近の著作もチェックしようと思いました。


【関連記事】

◆『山といえば川:才能がある人の生活習慣
◆『山といえば川:STUDY HACKS!


【今日の折り目】

32折/185ページ 
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。

【読書カウンター】

★★★★★ ★★★★★ 
★★★★★ ★★☆☆☆ 今月は、あと3冊!

【バックリンク】

● 効果10倍の“教える”技術
***

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