2008年4月22日火曜日

36: 仕事脳


仕事脳—成功する人の脳の使い方

吉田 たかよし




 池谷 裕二さんの『だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法』を読んでいたときに思い出した一冊をご紹介します。吉田 たかよしさんは、灘高→東大→NHKアナウンサー→代議士秘書→医師という文理をままたいだ、マルチな職業で活躍されています。それぞれの職場で出あった、「デキル人」を分析し、デキル人になるためのコツを科学的に説明しながら紹介してくれています。

【目次】

はじめに
第一章 海馬を活かす「科学的一夜漬け仕事術」
第二章 三時間睡眠+昼寝「ナポレオン睡眠法」
第三章 「コミュニケーション脳」鍛錬法
第四章 感情を利用する「脳活性法」
第五章 仕事力をパワーアップ!「科学的記憶法」
第六章 度忘れを防ぐ「想起力」トレーニング法
第七章 大脳の映像パワーで「プレゼンの達人」
あとがき


【注目ポイント】

はじめに

 吉田さんは、放送、政治、医療、と異なる3つの業務に携わる中で、それらの分野で活躍する「デキル人」が3つの高い能力を共通して持っていることに気付いたそうです。その3つとは、次の能力でした。
(1)仕事の進め方
(2)情報整理のやり方
(3)説明や質問のしかた

 また、「仕事ができる脳」と「学力が高い脳」との違いも指摘されていました。これは、学力が高い人が必ずしも、仕事ができるとは限らないという事実に対する考察のひとつです。この違いの大きなポイントは、脳を能動的に使うか、受動的に使うかの差にあるそうです。

第一章 海馬を活かす「科学的一夜漬け仕事術」

 永田町と霞ヶ関は、クリスマスシーズンになると各省庁の来年度の予算配分を決める予算折衝が行われるそうです。そこでは、巨額の国家予算をめぐって、官僚と政治家は、壮絶な攻防戦を繰り広げるそうです。この時期には、多くの官僚は疲労と睡眠不足に陥るそうですが、中には、逆に驚異的な能力を発揮する官僚も少なからず存在したそうです。彼らは、普段はアフター5を楽しむ、お気楽官僚だそうですが、ここ一番では、底力を発揮し、難題を解決していくそうです。

 このような官僚の底力の源として、吉田さんは締め切り効果をあげています。脳の中で記憶を司る”海馬”という器官は、長期間のストレスには弱いのですが、短期間のストレスがかかることにより能力が上昇するそうです。この短期間のストレスとは、具体的には、一夜漬けの勉強法のことです。本書には、一夜漬けを行うためのスケジューリングや、期限を脳に伝えることなどの注意点も説明されています。

第二章 三時間睡眠+昼寝「ナポレオン睡眠法」

 仕事の能率を上げるために、昼寝を勧めています。ポイントは、2つです。
(1)10~15分
(2)昼食後がベスト

 また、徹夜仕事にオススメ夜食はおむすびで、逆に避けるべき夜食は油を含む食物だそうです。脳の機能を低下させないためには夜食の選択も大事なようです。

第三章 「コミュニケーション脳」鍛錬法

 代議士の秘書をしていた頃、吉田さんは人間の力量を見る必要があり、そのときに「会話の100本ラリー」を考案されて実行していたそうです。この「会話の100本ラリー」では、こちらがぶつけた話題に対する相手のリターンをチェックします。これによって、理解力・判断力・創造力などの脳の幅広い機能を把握することができるそうです。

第四章 感情を利用する「脳活性法」

 扁桃体と呼ばれる脳の器官は、好き嫌いの感情を司り、この器官の働きと海馬の機能は密接に関わっているそうです。つまり、好き嫌いの感情をはっきり持つ方が、記憶の機能が高まりやすいそうです。したがって、仕事をするときは、感情豊かにすると良さそうですね。

第五章 仕事力をパワーアップ!「科学的記憶法」

 睡眠は、情報の整理のために必須であることは、最近いろいろな本で言及されている通りです。本書でも、就寝前の情報武装が、記憶の維持にとって効率的であると指摘しています。

第六章 度忘れを防ぐ「想起力」トレーニング法

 覚えているはずのことが思い出せない現象である「度忘れ」は、想起力の低下に原因があるそうです。そこで、この想起力を鍛えるトレーニング方法が2つ提案されていました。

第七章 大脳の映像パワーで「プレゼンの達人」

 人前で、スラスラとスピーチを行うためには、次の2つの条件を満たした記憶方法が必要だそうです。
(1)文の順番まで正確に思い出せる
(2)文が一瞬で思い出せる

 このような正確な記憶のコツの1つとして、「映像はりつけ法」が紹介されていました。これは、記憶したい文章からキーワードを抽出し、これを映像化してから身体の部分に貼付けていく方法です。実際試したところ、この方法は、具体的に身体の一部を使って映像をマッピングするため、かなり記憶しやすいものでした。


【読書後の感想ひとこと】

 多業種の第一線で活躍されている吉田さんの経験と知識を活かしてまとめられたこの本は、とても説得力のあるものでした。

【関連記事】

◆『山といえば川:だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法


【今日の折り目】

28折/282ページ 
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。


【読書カウンター】

★★★★★ ★★★★★ 
★★★★★ ☆☆☆☆☆ 今月は、あと5冊!

【バックリンク】

◦ 速読法と記憶法
◦ 脳を鍛えれば今までの10倍うまくいく
◦ 頭の回転をよくする74の方法
◦ 【コラボ書評 with 読書I/O日記 #001】ブレインハックス


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