2008年7月26日土曜日

106: 伝える力


伝える力

池上 彰

2007

 今日は、池上 彰さんの『伝える力』を読みました。池上さんは、NHKの「週刊こどもニュース」で11年の間、出演されていたそうです。番組で最新のニュースを子どもにわかりやすく伝える経験を通して、池上さんが得た伝える技術が紹介されています。

 誰かにわかりやすく説明する心がけを、池上さんが書かれていますので引用します。

 何かを調べるときには、「学ぼう」「知ろう」という姿勢にとどまらずに、全く知らない人に説明するにはどうしたらよいかということまで意識すると、理解が格段に深まります。理解が深まると、人にわかりやすく、正確に話すことが出来るようになります。

「簡単なことは簡単に」「難しいことも簡単に」


【目次】

はじめに
第1章 「伝える力」を培う
第2章 相手を惹きつける
第3章 円滑にコミュニケーションする
第4章 ビジネス文書を書く
第5章 文章力をアップさせる
第6章 わかりやすく伝える
第7章 この言葉・表現は使わない
第8章 上質のインプットをする
おわりに


【注目の3ポイント】

《1.伝わる文章を書くためには?》

 出版業界で行なわれている「編集」作業が、ビジネス文書を書くにあたり参考になると池上さんは述べています。出版物は紙面が限られているため、掲載する内容を取捨選択する必要が常にあります。何が重要で何が重要でないかを判断しながら編集していくことで、伝わりやすい内容になっていくのでしょうね。

 文章を書き慣れていない場合は、先輩の作成した文書を書き写すのがオススメなのだそうです。それもなるべく手書きのほうがよいそうです。そうやって、型を身につけていくのでしょうね。また、たとえ書くことが上手くなっても、謙虚に学ぶ姿勢がないとそれ以上成長しないそうです。

《2.よいビジネス文書を書くためにするべきこと》

 「緩やかな演繹法」これが提案書をまとめる時に、覚えておくべきだと思いました。これに帰納法も混ぜて“緩やか”に使うのがコツなのだそうです。ちなみに、演繹法とは「AはBであり、BはCである。よってAはBであるだろう。」という論理展開法のことです。また、帰納法とは「AにはBとCとDがある。BもCもDもEである。よって、AはEであろう。」という論理展開法のことです。

 「緩やかな演繹法」では、「まず仮説ありき」がポイントです。仮説を軸として、現場の状況と照らし合わせて軌道修正したり、違いを考察したりすることによって、効率的な情報収集が可能となります。

 また、現場に出向いたときは「五感」を研ぎすませて、感じ取ったものを文書に盛り込むことで、キラリと光る報告書や提案書になると池上さんは述べられています。これは引きつける文書を書く時のいいポイントですね。
 
 最期に、出来上がった文章を磨きをかけるコツを列挙します。

    ・プリントアウトして、誤字脱字や論理展開のおかしい箇所を見つける。
    ・文章を長さに応じて寝かし、新たな気持ちで推敲する。(一晩〜一週間)
    ・音読して、文章のリズムや回りくどい表現を見つける。
    ・「そして,それから」、順接の「が」、「いずれにしても」が含まれていないか確認する。

《3.惹き付けるためには?》

 大勢の聴衆の前で話すときなどは、相手の興味を引く工夫をするだけで、聞いてもらえる人の数が増えますね。そのときに、わざと反対とことをいったり、意外な話から始めてみたり、時制を逆転したりすると、聴衆の心をつかむことができるのだそうです。


【読書後の感想ひとこと】

 伝える能力を、間接的に上げるために、落語を鑑賞することを池上さんは勧められていました。HACKシリーズの小山さんや池尻さんも落語にヒントを得ていると読んだような気がします。


【関連記事】

● PHP研究所 THE 21 2008年 08月号
  本書は、THE 21を読んでいて、読みたくなった一冊です。


【今日の折り目】

23折/205ページ 
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。

【満足度】



(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません

【読書カウンター】

★★★★★ ★★★★★
★★★★★ ★★★★★
★★★☆☆ ☆☆

今月は、あと4冊!


【バックリンク】

◦ 非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門


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