2008年6月26日木曜日
80: 理系のための人生設計ガイド
理系のための人生設計ガイド
坪田 一男
2008
今日は、坪田 一男 先生の『理系のための人生設計ガイド』をご紹介します。坪田先生は、ハッピーに研究するということをモットーにされている眼科のお医者さんです。理系職業人としての人生設計をするために、この本を読みました。
研究者は自分の将来設計に疎いという特徴(?)をとらえて、「理系にも人生設計が必要」というスタンスで坪田先生は本書を書かれたそうです。直接的に研究を進める秘訣だけでなく、人脈や経済など研究者の地盤を固めるために必要なことについてもしっかり解説されています。
【目次】
まえがき
設計1 基礎知識編—成功のためには「人生設計」が必要だ
設計2 自己分析編—「自分年表」で人生を仮説にする
設計3 経済編—研究者こそ経済的自立が必要だ
設計4 友人・知人編—人的ネットワークを増やすには
設計5 海外ネットワーク編—世界で認められる研究者になる
設計6 ポスト編—母校の教授になるために
設計7 業績向上編—ノーベル賞を狙う気持ちで研究する
設計8 表現編—表現力をつけて社会にアピールする
設計9 インフラ編—会社、学会、NPOを用意する
設計10 時間編—人生設計とは「時間をどう使うか」である
設計11 トラブル編—理系の弱点「危機管理能力」を備えよう
【注目の3ポイント】
《1.99.9%は仮説―人生設計も仮説》
竹内さんのベストセラーになぞらえて、坪田先生は何はともあれ人生を設計することを勧められています。つまり、未来の自分はどうありたいか、そのためには何が必要か、どんな準備をすればいいのか、どんな人と繋がりをもつべきか、といったことを一つ一つ仮説を立てながら設計していけばよいということです。もちろん、仮説なので臨機応変に修正しながら最終目的に向かえばいいですね。
自分の人生も仮説として成り立っていると考える。面白い考え方ですよね。仮説だからこそ、検証・実験を繰り返し、真のゴールに近づくことが出来る。とにかく、設計ありきということですね。
人生の地図を作る大切さについて、とても印象的なエピソードを坪田先生は紹介されています。それは、猛吹雪のアルプス山脈で遭難したハンガリー兵士の話です。
兵士たちは道に迷い、衰弱しきっていました。そんな中一人の兵士が「地図があった!」と叫び、ボロボロの地図を取り出したそうです。それを聞いた周りの兵士たちは、猛吹雪に負けることなく生還したそうです。でも実は、その地図は遭難した地点から2000キロも離れた場所の地図だったのだそうです。
地図があるだけで人は進むことが出来て、本当に正しい道を指し示しているかどうかは、それほど重要でないということです。
「面白く仕事をする」それが成功へのルートとなる。中島 孝志さんの言葉を思い出しました。
《2.バリュー・ミッション・ストラテジー》
人生設計のためにまず必要なこと、それは自己分析です。“バリュー”は価値観、“ミッション”は本当にやりたいこと・天命、“ストラテジー”は、バリューとミッションを具現化するための戦略のことです。
これらは、しばしば漠然としがちですね。それをはっきりさせるための自分への質問も挙げられています。
バリューを見極めるための質問:
自分が幸せを感じるのはどのような時か?
ミッションを際立たせるための質問:
今、自分がしていることを統合できる言葉は何か?
ストラテジーを決めるための検討:
1.理想の自分とはどのようなものか?
2.そのために必要なスキルは何か?
3つの“バリュー・ミッション・ストラテジー”は、齋藤先生の“ミッション・パッション・ハイテンション”に似ていると思いました。みなさん似た感覚でお仕事されているのでしょうね。
《3.仲間と助け合っていく発想を持つ》
ソーシャル・キャピタル(Social Capital:社会関係資本)という言葉があるそうです。「人の本質は人と人との間にあり、人と人との間にある“何か”にこそ価値がある」という考え方のことです。
一人ひとりの能力が限られているからこそ、このソーシャル・キャピタルを増大させて、環境を整備し、仕事の能力を高める方法が大切なのですね。理系は、基本能力が高いいう落とし穴があって、ついつい『自分ひとりで』になってしまいがちです。坪田先生の指摘はとても的を得ています。
アライアンスな仕事術が求められます。
【読書後の感想ひとこと】
この本の読者層は、研究者がメインだと考えられますが、理系全般の学生から社会人まで幅広く読める本だと思いました。また、文系の方にも理系を知ってもらうためにも読んでいただきたいですね。
理系は、文系的スキルを磨くべきと坪田さんは述べられています。これからは、ブンジニア(文系+エンジニア)を目指すべきというドクター・中松さんの言葉を思い出しました。
【関連記事】
● 熊谷 正寿 一冊の手帳で夢は必ずかなう
やりたいことをピックアップし、実現に向けての道筋の立て方について記事にしています。
● 竹内 薫 99・9%は仮説
科学が進歩しても、世の中、仮説だらけです。
● 中島 孝志 20代からの「成功地図」の歩き方
成功へのルートについて記事にしています。
● 齋藤 孝 働く気持ちに火をつける
ミッション・パッション・ハイテンションについて記事にしています。
● 木村 孝,高橋 慶治 問題解決のための「質問力」
多くの人と接するためには、それぞれの人に応じて会話する必要がありますね。9つの視点から考えます。
【参考サイト】
* Tsubota.ne.jp|眼科医 坪田一男教授のオフィシャルページ
坪田先生の運営されているサイトです。かっこいいです!
* ◎1の力を10倍にする☆アライアンス仕事術☆ 御礼 アマゾンベストセラー総合第1位
『アライアンス仕事術』の平野敦士カールさんのブログです。
【参考書籍】
1.坪田 一男 理系のための研究生活ガイド―テーマの選び方から留学の手続きまで 1997
2.坪田 一男 理系のための楽しい研究生活 2007
3.ドクター・中松 ドクター・中松の発明ノート 2007
【読みたくなった本】
■ 小俣 貫太 斎藤一人の百戦百勝 2003
■ 小林正観 楽に楽しく生きる 2004
■ 平野敦士カール 1の力を10倍にする アライアンス仕事術 2008
【今日の折り目】
50折/248ページ
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。
【満足度】
5
(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
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