2008年6月17日火曜日

相手がわかるように教える技術


相手がわかるように教える技術

戸田 昭直

2004

 今日は、戸田 昭直先生の『相手がわかるように教える技術』をご紹介します。わかりやすく仕事を伝えるために、この本を読みました。

 まえがきには、戸田先生が次のように述べられています。

 教え方は経験を積めば必ず上手になるというものではありません。書物をひもといて教えることの意味や方法を学んだり、上手に教えている人を観察し、直接お話を伺うなど、意識して教えるコツを勉強することが大切です。

 漫然と教えていたのでは、教え方が向上するはずがありませんね。しっかりとこの本に学びたいと思いました。

 教える準備のキーワードは、2W1Gなのだそうです。これを明確にするだけでとても伝わりやすくなりそうです。

  • Whom ?: 誰を教えるのか
  • Why ?: なぜ教えるのか
  • Goal ?: 目標は何か


【目次】

はじめに
第1章 教える技術を学ぶための五つの前提
第2章 七つのプロセスを踏んで教える
第3章 コミュニケーション能力を高める教え方
第4章 「やる気」を出させるにはこう教える
第5章 ここが肝心、教えるコツとツボ


【注目の3ポイント】

《1.センスを見抜いて適切に指導しよう》

 フランスで料理人としての将来性のある人材は、キッチンで任された簡単な作業をしながら、先輩の仕事を盗み見して覚えていくそうです。学ぶはまねぶですね。このように、仕事のセンスがある人を育てるのは、教える側の負担が少ないだけでなく、一緒に成果を上げることが楽しくなりますね。

 では、センスのない人はどのように指導すれば良いのでしょうか?ともすれば、能力がないと決めつけてしまって、放ったらかしになりがちです。しかしそれでは、教える側の指導能力も逆に疑われることになりかねませんね。

 そこで、戸田先生はこのような部下のタイプ別の教育法を紹介されています。

  1. 「やる気がない」部下 → 仕事の面白さを伝える
  2. 「やり方がわからない」部下 → 仕事の内容や手順を教える
  3. 「能力不足」の部下 → 不足している知識や能力を補う方法を教える

 さらに、要領の悪い部下や不器用な部下への対応の仕方についても説明されています。こちらも3つのパターンに分けられています。

  1. 何ごとにも消極的な部下 → 仕事を細分化して、達成したらほめる
  2. 業務に対する能力や経験が足りない部下 → 丁寧にわかりやすく説明して、何度も繰り返しやらせる
  3. 沢山の仕事を抱え、どれも中途半端な部下 → 段取りを教える

 手強いと思っていた人は、これで何とかなるような気がします。勉強になりました。

《2.7つのプロセスを経て効果的に教えよう》

 効果的に教えるための7つのプロセスが説明されています。まずは、その7つを列挙します。

  (1)いってきかせる
  (2)やってみせる
  (3)やらせてみる
  (4)結果を伝える
  (5)ほめて自信をもたせる
  (6)さらに良くなる方法をしめす
  (7)次の目標を設定する

 次にそれぞれの、プロセスにおけるポイントを書き出しておきます。

(1)「いってきかせる」の4つのポイント

  1. 目標は具体的に
  2. 現状と目標の差を分析する
  3. 目標達成の方法を決める
  4. 目標達成の期限を決める

(2)「やってみせる」の6つのポイント

  1. 失敗を恐れないように言って聞かせる
  2. ゆっくりやってみせる
  3. つまずいた人には対応する
  4. 見せ方を工夫する
  5. 喩えを使う
  6. フィードバックを受ける

(3)「やらせてみる」の3つのポイント

  1. 手順をしっかり理解させる
  2. 臨機応変に行なう
  3. ほめる

(4)「結果を伝える」の4つのポイント

  1. 結果から読み取れることを伝える
  2. 数値で伝える
  3. 評価項目を決める
  4. 評価の判断基準を明確にして改善を求める

(5)「ほめて自信をもたせる」の4つのポイント

  1. 良い点をほめる
  2. ほめてから欠点を指摘する
  3. 具体的に、ほめる
  4. タイミングよくほめる

(6)「さらに良くなる方法をしめす」の3つのポイント

  1. 進歩した点を評価する
  2. 改善点は、1つか2つに絞る
  3. 具体的に指摘する

(7)「次の目標を設定する」の4つのポイント

  1. 達成目標の優先順位を決める
  2. 具体的な行動目標をつくる
  3. 教育の方法を考える
  4. 実行計画を立てる

《3.カウンセリングマインドで受け入れよう》

 コミュニケーションにとても参考になった、カウンセリングマインドの3つの条件を書き出します。

条件1:一致
 先入観なしに相手を受け入れて、自分も相手の見方と同じものの見方をしてみようとする姿勢のこと。

条件2:無条件の積極的理解
 相手を肯定的に受け入れようとする姿勢のこと。

条件3:共感的理解
 相手の立場になり、相手の話からその気持ちを積極的に理解しようとする姿勢のこと。

 まずは、相手の話を聴くことが、何よりも大切ですね。


【読書後の感想ひとこと】

 教えるための7つのプロセスを読んで、山本五十六さんの言葉を思い出しました。

 やってみせ いってきかせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ

 また、本書は、2006年に文庫化されたようです。よろしければ、どうぞ。

 ◆ 戸田 昭直 相手がわかるように教える技術 2006


【関連記事】

● 仕事は部下に任せよう!
 部下に教える簡単なコツを記事にしています。


【今日の折り目】

21折/159ページ 
・・・赤ペンチェックが入ったページ数を示しています。本の興味度を定量化しています。

【満足度】



(指標の目安)
5:とてもおすすめ,何度も読みたい
4:いい本
3:ふつう
2:う〜んちょっと
1:あんまりおすすめできません

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【バックリンク】

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