2010年3月9日火曜日

目のつけどころ









こんにちはchampleです。

今日ご紹介する1冊は、山田真哉さんの『目のつけどころ』です。書店で平積みされているのを見つけて、ぱらぱら見てみるとなかなか斬新な視点から書かれた本だったので読んでみました。どうやったら目のつけどころが良くなるのか……とても興味のあるテーマですよね。

「目のつけどころを訓練して、斬新なアイデアを思いついたり、鋭い質問をする」というのが、私の読む目的でした。


山田真哉さんといえば、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』が大ベストセラーになったので皆さんもよくご存知だと思います。公認会計士をされながら、雑誌の連載をされたり、テレビのコメンテーターとしても活躍されているようですね。テレビでの裏話エピソードも本に出てきます。


この本は、山田さんがこれまでに出会った、“目のつけどころ”のいい人の特徴を観察し、研究した結果をまとめられた1冊です。“目のつけどころ”というと、ヒラメキのような天性の勘というイメージがあります。しかし、山田さんによると、そうではないようです。

「目のつけどころ」というのは、訓練で、しかもパターン化された訓練で磨かれる(p. 13)

生まれ持った能力はまず関係ないし、学歴も関係ない。こつこつと勉強し続ける必要もない。ただひたすら場数を踏んで、体に叩き込めばいい。(p. 14)

コツをつかんで練習すれば、オリジナリティの高い“目のつけどころ”を手にすることができそうです。

山田真哉さんが出会った、“目のつけどころ”が違う人々のエッセンスが抽出されて出来上がった1冊。なかなか面白かったです。

さっそく見てみましょう!


【ポイント&感想】

この本では、“目のつけどころ”がいい人の具体例を交えて、自分でどのようにして“目のつけどころ”を磨くかについて説明されています。

私の読書の目的が、「目のつけどころの訓練」だったので、特に“目のつけどころ”を良くするトレーニングの部分に注目しました。


自分の目のつけどころを変えるコツとしては、こじつけ仮説法と、黒十字アイデア法が一番自分にしっくり来ました。(「こじつけ仮説法」とは、私が勝手にネーミングしました)

こじつけ仮説法とは、考える対象をいつも自分自身の中のワンパターン化した固定的な視点から考えることです。こじつけに近い仮説を立てるわけですから、当然考える対象とはかなりギャップが生まれるはずです。(この時すでに「目のつけどころ」が発生しています。ギャップがあるという時点で他の人は考えつかないはずだからです)そこから、そのギャップを埋めることで、他人が納得できるオリジナリティ高い分析ができるという訳です。

黒十字アイデア法とは、2つの指標で物事を捉える思考法です。この思考法は、水野 俊哉さんもマトッリクスシンキングとして提唱されていました。(『大阪ミドウスジ大学 マトリクスシンキングに参加してきました』もご覧下さい)

具体的には、十字に線を引いて、それぞれの軸を「硬い←→軟らかい」「各論←→総論」として、自分の考えている事が、どのあたりに位置しているかをまず把握します。それから、2軸それぞれにそって自分の考えを動かしてみながら考えるという簡単な方法です。


まず最初のアイデアがどの事象に位置するかを定め、そこから、それぞれの事象に振って考えるという、非常にシンプルな発想術なのである。(p. 79-80)

と山田さんが説明されている通り、自分で実際にやってみると事象を移動する過程で、視点の切り替えが起こらざるを得ないので、強制的に複数の視点から対象としている物事を考えることができます。

この2つの方法で思考するクセをつければ、かなり“目のつけどころ”のいい意見が出せるようになると思います。

目のつけどころが良いときっと問題解決もスムーズですし、アイデアを出すときにも必ず重宝します。この2つの方法は、自分の“目のつけどころ”を把握して、それとは違う視点から物事を考える良いトレーニングになります。

ぜひ一度、ご自分の問題でこの2つの方法を試してみて下さいね。

「“目のつけどころ”がいい人は、他の人とどう違うのか」

ということがよく分かる1冊です。

というわけで、この本は、

 「斬新なアイデアがほしい」
 「キレのある発言がしたい」

と日頃思っている方に特におすすめです。

目次をのせておきますね。



【目次】

序の部 目のつけどころとは何か

能力、学歴、努力不問、誰でも身につく目のつけどころ
目のつけどころの「教科書」
下手な自分に気づこう

1の部 分析で視点を増やす

目のつけどころのよしあしは視点の数が左右する
分析のモノサシ① まずはすべての事象をワンパターンに考える
分析のモノサシ② ネーミングから考える
分析のモノサシ③ 身体感覚で形状をとらえる
分析のモノサシ④ 距離感を推し量る
分析のモノサシ⑤ 共通項から線を引く
分析のモノサシ⑥ 対義語で大きく逆に振る
逆に振ることで、「思考の間」をつくる
器の大きさすらも、視点の数に比例している

2の部 視点をアイデアに変換する

「いい考えは忘れない」のウソ
できる人は、つねに図とマトリクスで考える
名札の整列はよいアウトプットにつながらない
山田式「黒十字アイデア法」
軸を2つクロスすれば、アイデアが生まれる舞台が整う
「黒十字アイデア法」のいいところ
視点は、ただの視点。アイデアへ落とし込んでこそ価値がある

3の部 説得は、掛け算

何も生まれない意見は、罪
「理由」には「感情」をいれないという鉄則
さらにロジカルに話すための「論理の壁打ち」
「関係ないもの」がつながる快感
「元気の押し売り」に込められた「たとえの妙」
足し算ネーミングで、名言マシーンになれ
「上中下」でランクづけする
「自己評価」と「他者評価」
説得力=目のつけどころ×手段×権力
情報の非対称性は、説得力を生む
視点を増やし、アイデアに落とし込み、説得力のある話をする

筆やすめの部 山田真哉の正直な告白

時間稼ぎのための「3つのキラーワード」
「朝青龍が写真集を出版させましたね」への悪夢のコメント

4の部 3秒で目をつける

どこでもいいからまずは着目
3秒テクニック① 数字を拾い、裏っ返す
数字+増減に分けて吟味する
3秒テクニック② 漢字にじっと目を凝らす
3秒テクニック③ 「うがった見方」で裏側に瞬間移動する
3秒テクニック④ 「雨が降ったら」の着目点をもつ
目のつけどころは、編み出すより、いただく
テレビがつまらないのは「自分の感度が鈍っている」から
3秒テクニック⑤ 「ほめるときは目線を上げる」
3つマネれば劇的に変わる

あとがき


今日紹介した本は、この本です。


■ 目のつけどころ 山田 真哉  2010


最後に、今日は本を逆さに読んでる写真をピックアップしてみました。逆から読んでも…“目のつけどころ”は変わるとは思えません(汗)…イメージです、イメージ‥(苦笑)

それではまた、今日もお読みいただきありがとうございました。


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【関連記事】


● 大阪ミドウスジ大学 マトリクスシンキングに参加してきました

● いま、すぐはじめる地頭力

細谷 功さんの本を紹介した記事です。山田 真哉さんによれば、“目のつけどころ”が悪いと地頭力は役に立たないとのこと。

人間は無意識のうちに、時間のない状態で最善の解を導くために「最終目的地から逆算して考える」という仮説思考を実践しているそうです。ポイントは、時間が制限されていることと、目的地から逆算しているということですね。

 また、最初から100点満点を目指すのではなく、65点程度を目安にスピーディーに先に進むことも大切なのだそうです。とりあえず、全体を把握し、そのあとで完成度を高めていけばいいのですね。


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